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同時進行で更新のための漫画を描いてるわけですが、はたして間に合うかな…?
ひさびさに緋詠さんのssを更新!前のお話はカテゴリ分類で「いただきもの」をすると探しやすいですぜ。続きもばしばしあげていきますよー。
第四話 ― 勇 者 誕 生 ―
遠くで教会の鐘が鳴る。同時に、木製の扉が二回、叩かれた。
「勇者殿、女王が謁見の間にてお待ちです」
「…分りました。すぐに、参ります」
私は顔を上げ、ハンガーへと掛けておいた正装用の上着を羽織る。
深呼吸をし、扉を開けた。するとそこには聖騎士団の甲冑を身に纏う騎士達が整列している。みな、私を見た瞬間敬礼した。
「勇者殿をお連れしろ!」
「ああ、いいです。…独りでいけますので」
「しかし…」
「皆さんは先に謁見の間へ、大丈夫。すぐに参ります」
渋々といった風に隊長の甲冑を纏う男性が列をまとめ去って行った。
私はふと空を見上げる。蒼い…あの頃と変わらない空を。
今日で、私は齢(よわい)十九になる。この国、ミッドチルダ帝国では成人として認められる年齢。そして…私は、今日で正式に勇者の称号を得る。
子供の頃より自分は勇者として育て上げられてきた。そして今日、このミッドチルダ帝国、女王…リンディ・ハラオウン陛下に正式に授与されるのは称号、そして任務。勇者として、この国に害なすもの…つまりは魔物をつき従えさせている魔女の軍団、アルハザードの壊滅を私はその称号とともに担うことになる。
正直、今の私にその責務を全うしろと言われても無理な話だった。
弱いんだ。昔よりも、技も、心も…。全て。自分でもわかるのに、みんなは知らない。私が演じる「勇者」という愚像にすがっているばかりで…何も、見えていない。私も、同じようなものだけど…。あの日より、私の時間は止まったまま。
私は正式には明日から…アルハザードへと旅立つ。
でもその旅の中で私は彼女を探しに行くんだ。大切な、たった一人の愛しい人を。
「…フェイト、ちゃん…」
思い出すのは、彼女のことばかり。
ため息交じりに出た熱のこもった息。会いたい、声を、聞きたい。
魔物や魔女退治なんてどうでもいい。私は彼女を探しに行く。絶対に見つけると約束した。大切な人を…迎えに行くんだ。
「勇者殿、お待ちしておりました。さぁ、こちらへ」
「え、…ああ、はい」
「どうしました?御気分でも優れませんか?」
「…いえ、何でもありません」
「おぉ、さすが勇者殿ですな。女王との謁見間近でその余裕」
「はは、……扉を開けて下さい」
「はっ」
謁見の間へと続く重そうな豪奢な扉を、兵士が開く。急な光が目に刺激を与えるが…私はまっすぐと前を向いた。聖騎士、祈祷師、王族付きの従者が並ぶ中…奥の玉座に威風堂々と座っているのはこの国の女王、リンディ陛下。
傍らには次期国王であられるクロノ王子と、その妃エイミィ様がいた。
音楽隊の演奏が響く中、私は静かに歩を進める。女王の数歩離れた場所で足を止め、ひざまづいた。
「高町 なのは、女王のご命令により馳せ参じました」
「ようこそ、若き魔道師よ。此度、この国にあなたを呼びよせたわけ…分っていますね?」
「はい」
「良いでしょう。聖導師よ、新たなる勇者にその証を」
女王の声に、三人の老人が出てくる。この国の大聖導師達。
彼らは私の前に来ると、紅いクッションのようなモノの上に置かれた私のデバイス――レイジングハートに祈りをささげる。レイジングハートは元は王族の術師が創ったデバイスだったらしい。今回も、私のデバイスに勇者として…王族の紋章が刻み込まれた。
「汝、その身に聖オリヴィエのご加護があらんことを」
祈りが終える。私が静かに面を上げ、手を差し出すとレイジングハートを渡される。首にかけ、立ち上がる。
「ここに、新たな勇者の誕生を祝います。聖歌隊、祈りの歌を」
待機していた聖歌隊が歌いだす。見事なハーモニーだけど…私には聞こえていなかった。私の頭の中は彼女のことだけで…耳には彼女の歌声が流れだす。ああ、綺麗だな。あなたが歌う歌は…私の癒しだった。
聖歌隊の歌が終わり、リンディ女王が立ち上がる。
「勇者、なのはよ。これより、あなたは我が国を守護するための存在となります。その力をもってして、悪を滅ぼす剣となりなさい」
「…はい、我が身、我が魔道をかけて」
「…よいでしょう。その心意気、忘れてはなりません」
「はい、女王陛下」
「勇者なのはに、祝福を!」
皆が声をそろえて「祝福を!」と言った。
何が、我が身なんだろう。何が、我が魔道なんだろう。そんなこと、微塵も思ってはいない。速くあなたを探しに行きたい。はやく、はやく…。
「勇者なのは、今宵はあなたの誕生を祝福するための宴があります。英気を養い、そして新たなら旅路に備えていきなさい」
「っは、女王陛下」
…なんだ、私が必要なくとも…お祭り騒ぎがしたいだけじゃない。
そうだ、今宵この地を発とう。そう私は決意し、頭を垂れた。
彼女は大切な人との思い出の場所で歌を歌っていた。
愛おしい、その人のために。
紡ぐのは祈り。
願うのは再会。
「…いつまでも、…待ってるよ。なのは」
彼女は紡ぐ、祈りの歌を。
――新たなる勇者誕生の時
――運命の歌姫
――始まりの空に祈りの歌を捧ぐ
続く!!
可愛いものが多すぎて移ろい行く心を留められず、ころころ描くものが変わっていくのは仕様です。今は東方・なのは・アトリエ(アーランド)にはまってます。百合スキーのニコニコ厨。
普段はニコニコ動画で活動中。
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